セミナー

2018 年3月2日(金)立命館大学幾何学セミナー

2018.02.05 Mon up
講演者の中江さんには幾何学セミナーの前の時間帯(14:00-15:00)に同じ会場で
関連するテーマでのもう一枠のご講演をして頂く予定です. 詳細は野澤
hnozawa [at] fc.ritsumei.ac.jp
までお気軽にお問い合わせください.

タイトル:taut葉層構造の構成について
講演者:中江 康晴氏(秋田大)
日時:2018年3月2日(金) 16:00–17:30
会場:立命館大学 びわこ・くさつキャンパス
   ウェストウィング6階 談話会室
   (アクセス・キャンパスマップは下記のリンクをご参照ください。)

アブストラクト:
Fを閉3次元多様体Mの余次元1葉層構造とする.
Fがtaut葉層構造であるとは, Fの全ての葉が横断的な閉曲線を持つときを言う. 定義からtaut葉層構造はReeb成分を持たず, Reeb成分を持たない葉層構造(Reebless葉層構造)の存在は, Novikov, Rosenberg, Palmeiraらの結果を合わせることにより, Mの基本群が無限群になる, Mは既約になる, 普遍被覆空間が3次元ユークリッド空間と同相になるなど, Mの位相的な性質を与えることが知られている.

Gabaiは1983年の論文[Ga1983]で縫い目付き多様体(sutured manifold)を導入し, 縫い目付き多様体の曲面による分解(sutured manifold decomposition)を用いて, taut葉層構造の構成を与えた. 特に結び目補空間に対して, ザイフェルト曲面をコンパクトな葉として持つtaut葉層構造が存在することを示した[Ga1987]. この構成で作られるtaut葉層構造の境界における葉のスロープはザイフェルト曲面に一致するので, このスロープによるDehn手術(0-frame surgery)により, taut葉層構造を持つ閉3次元多様体が得られる. このスロープをある範囲で動かせるように構成したものが, Robertsの曲面束の変形による構成である[Ro2001a],[Ro2001b]. Robertsの結果は曲面束結び目補空間への構成とみなせるが,
これを曲面束結び目ではない場合にも拡張したものが, Li-Robertsの結果[Li-Ro2014]である.

本講演では, これらGabaiの縫い目付き多様体の導入から始まったtaut葉層構造の構成と結果について概説する. また本講演者が興味を持っている, Li-Robertsの構成を曲面束結び目ではないツイスト結び目補空間に応用する研究と, L-spaceの研究との関係について説明する.
 
参考文献:
[Ga1983] D. Gabai, Foliations and the topology of 3-manifolds, J. Differential Geom. 18 (1983), no. 3, 445–503.
[Ga1987] D. Gabai, Foliations and the topology of 3-manifolds. III, J. Differential Geom. 26 (1987), no. 3, 479–536.
[Ro2001a] R. Roberts, Taut foliations in punctured surface bundles. I, Proc. London Math. Soc. (3) 82 (2001), no. 3, 747–768.
[Ro2001b] R. Roberts, Taut foliations in punctured surface bundles. II, Proc. London Math. Soc. (3) 83 (2001), no. 2, 443–471.
[Li-Ro2014] T. Li, R. Roberts, Taut foliations in knot complements, Pacific J. Math. 269 (2014), no. 1, 149–168.


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