学科紹介

     立命館大学数理科学科は,その前身の数学物理学科が1949年に設立されているという関西私大の中でも最も歴史のある数学系学科です.2000年4月にその数学物理学科は数理科学科と物理科学科に分離され現在に至っています.その数理学科の設立趣意書には次のように書かれています.

     「20世紀数学の特徴の一つは,高度な抽象化とその普遍性にあると言えるで しょう. 対象世界を概念として純化抽象化し,現実世界から相対的に自立した 数学的実在を論理的に探求する営為は,美しい文化として実り多い成果をもた らしました.さらに,その理論は,個別を含みつつも個別を越えた普遍性を有 しており,それ故に数学は,自然科学,工学は言うに及ばず,社会科学を含む 諸科 学の中へ言語として深く根を下ろすに至っています.ここでいう「言語と して」 とは,数学が単に事実を記述する手段であるということを意味するだけ ではなく,それが対象を分析する手段でもあり,また論理を展開する手段でも あることを意味しています」

     「数学と諸科学との関係は,完成した数学を他の科学に応用するという一方 通行を意味するものではなく,諸科学が数学に新しい問題を提起し,数学はそ の問題を数学として咀嚼して自己の養分とし,数学研究の対象領域を拡大して き ています.例えば,近年のコンピュータの急激な発展に伴い,数学基礎論, 抽象代数学を基礎とした数理情報学という新しい研究分野が生み出されました. また,確率論と経済学との出会いは,数理ファイナンスというテーマをもたら しました.数理科学とは,これらの例のように,数学の発展の原動力が,
  • 数学自身が持つ内在的力と
  • 周辺諸科学との出会い

    の両方にあり,しかも,それらが不可分の関係にあるとの認識のもとに,従来 の数学に,さらに学際的研究分野を取り込んだ学問分野を意味しています.数 学のこのような展開は,21世紀においては,学問的にも社会的にも益々重要と なるでしょう」

   この設立趣意書に予言されていたように,21世紀の数理科学は新たな展開を見せており,社会のいたるところで大きなインパクトを与えるようになってきています.立命館大学の数理科学科はその新潮流の最前線を走っており,新しい数理科学に対応できる人材を養成する教育カリキュラムを不断にアップデートしながら,世界レベルの研究拠点をめざした活発な研究活動をおこない,優秀な人材を各界に供給し続けています.