トピックス

2019年3月29日(金)立命館大学幾何学セミナー

2019.03.15 Fri up
<<立命館大学幾何学セミナー>>

日時:        2019年3月29日(金) 16:00~17:30

タイトル:   Recursion operatorとSymplectic-Haantjes多様体の構成による可積分系へのアプローチ

講演者:    竹内 司 (東京理科大学)

アブストラクト:
これまで,可積分系の特徴付けとして,Liouville-Arnoldの定理やLax pairなどといった多くの定理や理論が知られてきた.本講演では,これらと異なる可積分系の特徴付けとして,次の2つについて紹介したい.1つはrecursion operatorと呼ばれるテンソル場の構成による特徴付けである.旧来は物理現象を主な対象としてこのテンソル場の構成が考えられていたが,リーマン多様体の測地流に対してrecursion operatorの構成を行い対応するハミルトン関数の可積分系性を示すことにより数学的なモデルについても考察が可能であることを示していく.また,応用として,可換なハミルトンベクトル場の列を構成する.もう1つはP. TempestaとG. Tondoにより最近導入された,Haantjesテンソルを用いたsymplectic-Haantjes多様体とLenard-Haantjes chainについて紹介したい.彼らは,非退化なハミルトン系が完全積分可能であるためにはsymplectic-Haantjes多様体の存在が必要十分であることが示した.また,可積分系が与えられたとき,その包合的な第1積分とLenard-Haantjes chainによりsymplectic-Haantjes多様体を構成する問題を考察し,これを逆問題と呼んだ.この逆問題については,未だ多くの例は知られていないが,具体的な複数の2自由度のハミルトン系について結果を得たため,これを紹介する.


場所:         立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)
              ウェストウィング6階談話会室

2018年11月26日(月)立命館大学幾何学セミナー

2018.11.18 Sun up
<<立命館大学幾何学セミナー>>

日時:        2018年11月26日(月) 18:00~19:00

タイトル:   K3曲面とゲージ理論

講演者:    中村 信裕 (大阪医科大学)

アブストラクト:
ゲージ理論,特に Seiberg-Witten 理論がK3曲面,および楕円曲面のトポロジーについて証明してきたことのいくつかを紹介する.
1. exotic な微分構造と連結和に関する「剛性」
2. nonsmoothable group actions
3. 族のトポロジー

場所:         立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)
              ウェストウィング6階談話会室

2018年7月3日(火)立命館大学幾何学セミナー

2018.06.26 Tue up
<<立命館大学幾何学セミナー>>

日時:        2018年7月3日(火) 15:00~16:00

タイトル:   Recent progress in the Delzant classification of almost-toric systems

講演者:    Christophe Wacheux (IBS Center for Geometry and Physics, POSTECH)

アブストラクト:
Almost-toric systems are a special class of integrable Hamiltonian systems with properties of almost-periodicity of the flow (all but one component of the moment map yield a circle action), and restriction on the nature of the singularities (only elliptic and focus-focus singularities are authorized). 
In this talk, I will explain the classification program for these systems that started almost ten years ago, and the progress that have been made until very recently.

場所:         立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)
              ウェストウィング6階談話会室

2018年5月11日(金)立命館大学幾何学セミナー

2018.05.01 Tue up
<<立命館大学幾何学セミナー>>

日時:        2018年5月11日(金) 16:30~18:00

タイトル:    等長変換群の存在を妨げる幾何学量について

講演者:     友田 健太郎 (大阪市立大学)

アブストラクト:
ハミルトン形式の解析力学や一般相対論をあつかうとき, 過剰決定系の偏微分方程式に遭遇することがある.
例えば,リーマン多様体を特徴付けている対称性は何かという問から, キリング方程式と呼ばれる偏微分方程式が現れるが, これは過剰決定系の典型である.
こうした過剰決定系のなかでも,有限型に分類される系は, 解空間の有限次元性が保証されるなど, 偏微分方程式でありながら常微分方程式に近い性質をもつ.
本講演では,過剰決定系の偏微分方程式を考える動機について概説した後,キリング方程式の諸性質を議論する.
特に,キリング方程式の解の存在を妨げる幾何学量を紹介する.
また,こうした幾何学量を用いて,キリング方程式の解空間の次元を代数的に決定する「試験法」を紹介する.
本講演の内容は,Boris Kruglikov(トロムソ大学)とVladimir Matveev(イェーナ大学)との共同研究に基づく.

場所:         立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)
              ウェストウィング6階談話会室

2018年3月29日(木)立命館大学幾何学セミナー

2018.02.16 Fri up
日時:      2018年3月29日 (木) 14:30~18:30 (14:30~16:00 第1部,16:30~18:00 第2部,18:00~ ディスカッション)

場所:      立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)
           ウェストウィング6階談話会室

タイトル:  Dirac 作用素の解析学によるS^3 上のsl(n,H) -値current 代数の中心拡大の構成

講演者:   郡 敏昭 (早稲田大学名誉教授)

アブストラクト:

こちらのリンクからご覧ください.

2018 年3月2日(金)立命館大学幾何学セミナー

2018.02.05 Mon up
講演者の中江さんには幾何学セミナーの前の時間帯(14:00-15:00)に同じ会場で
関連するテーマでのもう一枠のご講演をして頂く予定です. 詳細は野澤
hnozawa [at] fc.ritsumei.ac.jp
までお気軽にお問い合わせください.

タイトル:taut葉層構造の構成について
講演者:中江 康晴氏(秋田大)
日時:2018年3月2日(金) 16:00–17:30
会場:立命館大学 びわこ・くさつキャンパス
   ウェストウィング6階 談話会室
   (アクセス・キャンパスマップは下記のリンクをご参照ください。)

アブストラクト:
Fを閉3次元多様体Mの余次元1葉層構造とする.
Fがtaut葉層構造であるとは, Fの全ての葉が横断的な閉曲線を持つときを言う. 定義からtaut葉層構造はReeb成分を持たず, Reeb成分を持たない葉層構造(Reebless葉層構造)の存在は, Novikov, Rosenberg, Palmeiraらの結果を合わせることにより, Mの基本群が無限群になる, Mは既約になる, 普遍被覆空間が3次元ユークリッド空間と同相になるなど, Mの位相的な性質を与えることが知られている.

Gabaiは1983年の論文[Ga1983]で縫い目付き多様体(sutured manifold)を導入し, 縫い目付き多様体の曲面による分解(sutured manifold decomposition)を用いて, taut葉層構造の構成を与えた. 特に結び目補空間に対して, ザイフェルト曲面をコンパクトな葉として持つtaut葉層構造が存在することを示した[Ga1987]. この構成で作られるtaut葉層構造の境界における葉のスロープはザイフェルト曲面に一致するので, このスロープによるDehn手術(0-frame surgery)により, taut葉層構造を持つ閉3次元多様体が得られる. このスロープをある範囲で動かせるように構成したものが, Robertsの曲面束の変形による構成である[Ro2001a],[Ro2001b]. Robertsの結果は曲面束結び目補空間への構成とみなせるが,
これを曲面束結び目ではない場合にも拡張したものが, Li-Robertsの結果[Li-Ro2014]である.

本講演では, これらGabaiの縫い目付き多様体の導入から始まったtaut葉層構造の構成と結果について概説する. また本講演者が興味を持っている, Li-Robertsの構成を曲面束結び目ではないツイスト結び目補空間に応用する研究と, L-spaceの研究との関係について説明する.
 
参考文献:
[Ga1983] D. Gabai, Foliations and the topology of 3-manifolds, J. Differential Geom. 18 (1983), no. 3, 445–503.
[Ga1987] D. Gabai, Foliations and the topology of 3-manifolds. III, J. Differential Geom. 26 (1987), no. 3, 479–536.
[Ro2001a] R. Roberts, Taut foliations in punctured surface bundles. I, Proc. London Math. Soc. (3) 82 (2001), no. 3, 747–768.
[Ro2001b] R. Roberts, Taut foliations in punctured surface bundles. II, Proc. London Math. Soc. (3) 83 (2001), no. 2, 443–471.
[Li-Ro2014] T. Li, R. Roberts, Taut foliations in knot complements, Pacific J. Math. 269 (2014), no. 1, 149–168.


びわこ・くさつキャンパスへのアクセスマップ:
http://www.ritsumei.ac.jp/accessmap/bkc/
びわこ・くさつキャンパスの地図:
http://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=227632&f=.pdf

2018年2月1日(木) 立命館大学幾何学セミナー

2018.01.15 Mon up
日時:2018年2月1日(木) 16:00–17:30
会場:立命館大学びわこ・くさつキャンパス (BKC) ウェストウィング7階 第一数学研究室
講演者:只野 誉氏(東京理科大)
タイトル:Ricci ソリトンの幾何学
アブストラクト:1980年代に R. S. Hamilton によって導入された Ricci フローは多様体上の標準計量の構成において大きな成功を収め, 微分幾何学において重要な位置を占めるものとなった。中でも G. Perelman による Poincar\’{e} 予想の解決や S. Brendle と R. Schoen による微分可能球面定理の解決は記憶に新しい。 Riemann 多様体上の Ricci ソリトンは Einstein 多様体の自然な一般化であるだけでなく, Ricci フローの自己相似解に対応し, このフローの特異点モデルとして自然に現れる重要な研究対象である。Ricci ソリトンは数学のみならず超弦理論の AdS/CFT 対応においてもその重要性が指摘され, 近年活発に研究が行われている。本講演では初めに Riemann 多様体上の Ricci ソリトンに焦点を当て, その基本的な性質を紹介した後, 講演者が得た結果についてお話ししたい。具体的には Einstein 多様体に対する Bonnet-Myers の定理や Hitchin-Thorpe 不等式などの古典的な結果が Ricci ソリトンに対してどの程度拡張出来るかをお話し、Ricci ソリトンに対する直径評価や Einstein 多様体と Ricci ソリトンの間に成り立つ間隙定理を紹介する。さらに Ricci フロー理論の成功を契機として導入された佐々木-Ricci ソリトンに対しても同様の考察を試みることで、佐々木-Ricci ソリトンに対する直径評価や佐々木-Einstein 多様体と佐々木-Ricci ソリトンの間に成り立つ間隙定理を紹介したい。
 
参考文献
 
[1] H. Tadano, Gap theorems for compact gradient Sasaki-Ricci solitons, Internat. J. Math. 26 (2015), 1540009, 17 pages.
 
[2] H. Tadano, Remark on a diameter bound for complete Riemannian manifolds with positive Bakry-¥’{E}mery Ricci curvature, Diff. Geom. Appl. 44 (2016), 136-143.
 
[3] H. Tadano, An upper diameter bound for compact Ricci solitons with application to the Hitchin-Thorpe inequality, J. Math. Phys. 58 (2017), 023503, 8 pages.
 
[4] H. TadanoSome Ambrose- and Galloway-type theorems via Bakry-¥’{E}mery and modified Ricci curvatures, Pacific J. Math. 294 (2018), 213-231.

2018年1月12日(金)立命館大学幾何学セミナー

2018.01.05 Fri up
日時:      2018年1月12日 (金) 13:30~15:30

場所:      立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)
           ウェストウィング6階談話会室

タイトル:  旗多様体での外在的幾何と線形微分方程式系

講演者:   森本 徹 (関孝和数学研究所,岡数学研究所)

アブストラクト:
旗多様体の部分多様体の不変量を求める一般的方法を明らかにする.この特殊化を通じて様々な外在的幾何の不変量も得られる.また線形微分方程式系は,その解空間を考えることにより,旗多様体の部分多様体と同型となるので,線形微分方程式系の不変量も求まる.具体例,SL(3) とその随伴表現をモデルとする外在的的幾何について詳しく調べ,分類問題,twistor-Bäcklund transform, Gauss’ Theorem egregium の一般化などにも触れたい.

2018年3月26日(月)~28日(水) ワークショップ

2017.11.29 Wed up

Noncommutative Geometry and K-theory at Rits
     -The Fourth China-Japan Conference-


Dates : March 26 (Monday) — 28 (Wednesday), 2018 
Conference Venue : Ritsumeikan University, Biwako-Kusatsu Campus (BKC)
                                    Access Map


Organizing Committee : 
       Toshikazu Natsume, Ritsumeikan University, Co-chair
       Hiroyuki Osaka, Ritsumeikan University, Co-chair
       Tsuyoshi Kato, Kyoto University
       Yasuyuki Kawahigashi, University of Tokyo
       Hitoshi Moriyoshi, Nagoya University

Invited Speakers
 :
       
Tomohiro Fukaya, Tokyo Metropolitan University 
       Yoshiyasu Fukumoto, East China Normal University
       Goroh Ishiki, Tsukuba University
       Yosuke Kubota, RIKEN
       Hongzhi Liu, Shanghai Center for Mathematical Sciences, Fudan University
       Raphael Ponge, Seoul National University
       Naoya Suzuki, National Institute of Technology, Akita College
       Doman Takata, Kyoto University
       Kai Wang, Fudan University
       Qin Wang, East China Normal University
       Kentaroh Yoshida, Kyoto University
       Yang Zhang, University of Manitoba
       Dapeng Zhou, East China Normal University  


For information : Toshikazu Natsume (tnatsume@jcom.zaq.ne.jp)     

Program  Poster  

2017年10月20日(金) 立命館大学幾何学セミナー

2017.10.08 Sun up
日時: 2017年10月20日(金) 16:00~17:30
場所: 立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC) ウェストウィング7階 数学第1研究室

タイトル: 4次元可微分多様体上のニュートラル計量 (++--)の存在条件および擬Riemann多様体上のGoldberg予想の反例について

講演者: 松下 泰雄 (大阪市立大学数学研究所)

アブストラクト:
不定値計量をもつ擬Riemann多様体に関して,2つのトピックスを紹介する.
1.向き付け可能なコンパクト4次元可微分多様体上のニュートラル計量
(++--)の存在条件は,向き付け可能な2次元平面場の存在条件および
2種類の概複素構造の存在条件と同値である.1958年に Hirzebruch-Hopfは,
4次元多様体の交点形式の分類には言及せずに,2次元平面場の存在の必要
十分条件を得ていた.交点形式の分類は,4次元位相多様体についてはFreedman
によって,4次元可微分多様体についてはDonaldson によって得られて,
二人揃って1986年のフィールズ賞に輝いた.その交点形式の分類および,
Hirzebruch-Hopfの2次元平面場の存在定理に基づき,また4次元回転群 SO(4)
の部分群を精査することによって,それが2種類の概複素構造の存在条件と
同値であることが示される.
2.1969年に提起されたGoldberg予想とは,コンパクト概Kaehler-Einstein-
Riemann多様体の概複素構造は可積分であろう,すなわち複素構造になって
いるだろうというものである.提起以来50年ほど経つ現在,スカラー曲率が非負
ならば予想は正しい(関川の定理)とされているが,現在まだ未解決である.
このGoldberg予想の問題を擬Riemann多様体では,6次元以上のコンパクト
擬Riemann多様体で反例を見つけることができた.現在は,4次元ニュートラル
多様体で反例が存在するかどうかが問題となっていることなどを解説したい.