学科紹介

数理ファイナンスプログラム

立命館大学理工学部数理科学科の数理ファイナンスへの取り組み
 
金融とは何でしょうか?お金を預けたり,ローンを組んだり,株を買ったり,クレジットカードで支払ったり,…お金に関する何かをするときに,関わる何かであることは皆さんご存知だと思いますが、なかなかその実体はつかみにくいでしょう。実は、金融とは「不確実性を売買すること」とまとめることができます。その背後にはいつでも数学がひそんでいます。
しかしごく最近—30年くらい前—まで、金融はどちらかというと文系に属する事項でした。いまでもそうお考えの方々は多いかもしれません。今日,金融工学(Financial Engineering)あるいは金融技術(Financial Technology)とよばれる「技術」の基礎は大体40年前にできあがり,30年くらい前から実際の市場で使われるようになりました。そこでは「確率解析(Stochastic Calculus)」あるいはその創始者である伊藤清先生の名を冠して「伊藤解析(Ito Calculus)」と呼ばれる高等数学—大学院レベル~研究者レベルの数学—が全面的に用いられています。金融(の奥深いところ)は、突然のように、理系のもの、ただそれだけでなく、もっとやっかいなことに、最前線レベルの数学になったのです。
立命館大学理工学部数理科学科(当時は数学物理学科)は、1998年に「文理総合ファイナンスインスティテュート」の一環として、わが国の(数学系学科の)中では一番初めに数理ファイナンスへの取り組みを開始しました。以来約20年の長きにわたってわが国の中ではほぼ唯一の数理系の高度金融人材養成拠点として、金融機関・研究機関に多くの人材を送り出してきています。
立命館大学理工学部数理科学科の数理ファイナンス教育の特徴は以下の3点にまとめられます.
1. 数学的厳密性: 厳密な数学理論、特にマルチンゲール理論、確率微分方程式論といった土台の教育をきちんと行います.そのために数学科における世界共通の伝統である少人数でのゼミナール形式での学習を重視しています.
2. 縦のつながり:自主ゼミで先輩が後輩のTutorを務めるなどの機会が多く,縦のつながりが自然にできる伝統があります.学生のうちに現役の金融実務に携わる先輩から直接最先端の様子を見聞する機会も多く,モチベーションの維持につながっているようです.各金融機関で卒業生が専門職として活躍しています.
3. 国際性:常時多くの海外研究者と交流を行っています.そのせいか、大学院生も国際レベルでの研究を心掛けているようです.第一線の研究者になっている卒業生も多くいます.