2016年度

Math-Fi seminar on 21 Jul.

2016.07.18 Mon up
  • Date : 21 Oct. (Thu.)
  • Place: W.W. 6th-floor, Colloquium Room
  • Time : 16:30-18:00
  • Speaker:  Naotaka Kajino(Kobe University)
  • Title: 多重Dynkin-Hunt公式による拡散過程の熱核の上方評価とLiouville Brown運動への応用
  • Abstract:本講演では,「拡散過程の推移確率密度(熱核)の劣Gauss上方評価の為の十分条件について,仮定を時空間的に限局しても同様の熱核評価が出せる」という,Alexander Grigor’yan (University of Bielefeld) と講演者の共同研究により得られた結果を紹介する.多様体などにおけるGauss型熱核評価の場合にはそのような主張は解析的手法により自然に得られることが知られているが,本研究の新しさは確率論的な仮定と手法に基づいている点,及びフラクタル等で典型的に見られる劣Gauss型熱核評価を対象としている点にある.証明は,強Markov性を用いてDynkin-Hunt公式を得る操作を無限回繰り返すことで得られる「多重Dynkin-Hunt公式」により,拡散過程の推移関数を(固定された)開集合上での部分過程の推移関数を用いて表示することでなされる本講演の後半では上述の結果の応用として,Liouville Brown運動という,2次元Brown運動のGauss乗法カオス Lebesgue測度に「Gauss自由場の指数関数を乗じて」得られるrandomRadon測度)による時間変更として与えられる拡散過程の熱核について,Sebastian Andres (University of Bonn)との共同研究で得られた結果を紹介 する.Liouville Brown運動に対しては種々の一様な不等式評価が有界集合上でしか期待できないため熱核評価に ついての既知の結果は直接適用できないが,我々は上述の結果は適用可能であることを示し,その帰結として熱 核の連続性および(粗い)劣Gauss型上方評価を得た.

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