セミナー

2017年10月20日(金) 立命館大学幾何学セミナー

2017.10.08 Sun up
日時: 2017年10月20日(金) 16:00~17:30
場所: 立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC) ウェストウィング7階 数学第1研究室

タイトル: 4次元可微分多様体上のニュートラル計量 (++--)の存在条件および擬Riemann多様体上のGoldberg予想の反例について

講演者: 松下 泰雄 (大阪市立大学数学研究所)

アブストラクト:
不定値計量をもつ擬Riemann多様体に関して,2つのトピックスを紹介する.
1.向き付け可能なコンパクト4次元可微分多様体上のニュートラル計量
(++--)の存在条件は,向き付け可能な2次元平面場の存在条件および
2種類の概複素構造の存在条件と同値である.1958年に Hirzebruch-Hopfは,
4次元多様体の交点形式の分類には言及せずに,2次元平面場の存在の必要
十分条件を得ていた.交点形式の分類は,4次元位相多様体についてはFreedman
によって,4次元可微分多様体についてはDonaldson によって得られて,
二人揃って1986年のフィールズ賞に輝いた.その交点形式の分類および,
Hirzebruch-Hopfの2次元平面場の存在定理に基づき,また4次元回転群 SO(4)
の部分群を精査することによって,それが2種類の概複素構造の存在条件と
同値であることが示される.
2.1969年に提起されたGoldberg予想とは,コンパクト概Kaehler-Einstein-
Riemann多様体の概複素構造は可積分であろう,すなわち複素構造になって
いるだろうというものである.提起以来50年ほど経つ現在,スカラー曲率が非負
ならば予想は正しい(関川の定理)とされているが,現在まだ未解決である.
このGoldberg予想の問題を擬Riemann多様体では,6次元以上のコンパクト
擬Riemann多様体で反例を見つけることができた.現在は,4次元ニュートラル
多様体で反例が存在するかどうかが問題となっていることなどを解説したい.

コメントは受け付けていません。