2019.06.06 Thu up
<<立命館大学幾何学セミナー>>
日時: 2019年6月20日(木) 10:40~12:10
タイトル: 光の分散関係の構造と物理現象
講演者: 澤田 桂 (理化学研究所 放射光科学研究センター)
アブストラクト:
光などの波動において、周波数と波数ベクトルとの関係式を分散関係と呼ぶ。分散関係は曲面で表され、その形状は、波動が伝わる媒質の構造や対称性によって異なる。例えば等方的な媒質では2次曲面になり、異方的な媒質では特異点をもつ4次曲面にもなりうる。本講演では、光の分散関係に着目し、その曲面の構造がもたらす様々な光学現象を考察する。日常でも目にする屈折などの基本的な現象の説明から始め、分散関係の曲面が特異点をもつ場合の光の振舞いとその理論的背景を解説する。具体例として、特異性を反映したトポロジカルな性質によるエッジ状態や、円錐状に光が伝わる円錐屈折などについて、実験結果も交えつつ述べる。
場所: 立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)
ウェストウィング 6階 談話会室
2019.03.15 Fri up
<<立命館大学幾何学セミナー>>
日時: 2019年3月29日(金) 16:00~17:30
タイトル: Recursion operatorとSymplectic-Haantjes多様体の構成による可積分系へのアプローチ
講演者: 竹内 司 (東京理科大学)
アブストラクト:
これまで,可積分系の特徴付けとして,Liouville-Arnoldの定理やLax pairなどといった多くの定理や理論が知られてきた.本講演では,これらと異なる可積分系の特徴付けとして,次の2つについて紹介したい.1つはrecursion operatorと呼ばれるテンソル場の構成による特徴付けである.旧来は物理現象を主な対象としてこのテンソル場の構成が考えられていたが,リーマン多様体の測地流に対してrecursion operatorの構成を行い対応するハミルトン関数の可積分系性を示すことにより数学的なモデルについても考察が可能であることを示していく.また,応用として,可換なハミルトンベクトル場の列を構成する.もう1つはP. TempestaとG. Tondoにより最近導入された,Haantjesテンソルを用いたsymplectic-Haantjes多様体とLenard-Haantjes chainについて紹介したい.彼らは,非退化なハミルトン系が完全積分可能であるためにはsymplectic-Haantjes多様体の存在が必要十分であることが示した.また,可積分系が与えられたとき,その包合的な第1積分とLenard-Haantjes chainによりsymplectic-Haantjes多様体を構成する問題を考察し,これを逆問題と呼んだ.この逆問題については,未だ多くの例は知られていないが,具体的な複数の2自由度のハミルトン系について結果を得たため,これを紹介する.
場所: 立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)
ウェストウィング6階談話会室