シミュレーション・サブグループの研究背景
デフォルトの発生は、互いに独立や「相関がない」とは言えず、ある程度正の依存関係があると考えるのが自然である。この依存関係のことをデフォルト相関という。たとえば、少し過去の話になるが、2005 年5 月頃、GMとフォードの信用格付けが低下し、CDS スプレッドが急上昇したことがあった。その際に、GMとフォードのCDS スプレッドの上昇に引っ張られるように日本の自動車業界のCDSスプレッドも急上昇する現象が見られた。この時期トヨタやホンダなどの日本の企業の業績は、好調でこれらの日系企業にCDS スプレッド上昇の原因となる理由が見られなかったことがある。
単純な問題設定の下で、CDS スプレッドの間に生ずる「相関」と資産価値の間に生ずる「相関」を数値シミュレーションにより比較してみると、相関が低い所では、CDS スプレッドの間に生ずる「相関」と資産価値の「相関」の差が大きく、全体としては、指数的な関係が見られた。この結果、CDS スプレッドの間に生ずる「相関」から参照資産に含まれる企業の資産価値過程の「相関」に関する情報を安易に得ることができない場合があることがわかる。詳しくは、数値シミュレーションの結果を参考にしていただきたい。
以上のことから「相関」をどのように理論的に設定するかは、重要な課題である。
大阪大学 金融・保険教育研究センター(CSFI)
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