CDS に関する数学的な問題としては、以下のようなことがある:
- CDS の適切なプレミアムはどのように理論的に決められるかという問題がある。上記の節の中でも触れたが、金融取引には、市場リスクや信用リスクなどのなんらかのリスクが常に存在する。これらのリスクを回避したいと考えるのは、自然な発想であり、デリバティブのニーズが高まった理由の一つでもある。デリバティブの売り手は、買い手が移転したいリスクに見合ったプレミアムを算出する必要がある。不当に高い価格で買わされたり、安すぎる価格で売却して引き受けるリスク以上のリスクを被る状況に陥らないようにするために数学的な理論による公正な価格付けが必要である。(注意:
現実問題として、皆が同じ価格で取引することは限らない。使用する数理モデルによって、また技術的な問題により売り値が異なることに注意する。)
- 企業の信用リスクをどのようにモデル化するのが有効かという問題がある。どういう意味で「有効」というのか様々な見解があると思われるので注意する必要がある。実務では、シミュレーションの容易さなどの使いやすさが「有効」とみなされ使用するモデルが選ばれているように思われる。後述の節で簡単なモデルと一緒に説明するが、CDO
のモデルを考える際には様々な問題を考慮する必要がある。例えば、企業間にある「相関」やファットテイル問題などがある。これらの問題をいかに数学的に理論化しモデルに組み入れるのかという研究が必要である。
- 作成したモデルのパラメータをどのように推定するのが妥当かという問題がある。過去のどのデータを用いて推定するのかetc。